転職成功者インタビュー

シナノケンシ株式会社
星野和博さん(仮名・営業) 39歳

38歳で妻の故郷へ。前職のスキルを活かせる海外営業に新たなやりがい。

名のある企業で技術職を5年、商品企画職を10年。壁にぶつかることはありつつも、恵まれた環境で充実した仕事をしていた星野和博さん(仮名)にとって、転職、ましてや地方への移住などまったく縁のない話だった。妻からの「いずれ長野に帰りたい」という言葉を聞くまでは。しかし、「38歳で条件の良い転職ができるのか」と訝りながらも「試しに」と活動を始めるや、「ぜひに」と求めてくれる今の会社と出会い、トントン拍子に入社が決まる。欧州市場を相手に商品企画のキャリアを積んできた、その経験を高く評価され、未経験の営業職に採用されたのである。長野での暮らしは思っていた以上に心地よく、「転職のために犠牲にしたものは何もない」と言う星野さん。今、思い切って転職して良かったと心から思っている。(※本記事の内容は、2016年3月取材時点の情報に基づき構成しています)

過去の
転職回数
1回
活動期間
エントリーから内定まで64日間

転職前

業種
電気機器メーカー
職種
機構設計・商品企画
業務内容
欧州向け商品企画

転職後

業種
電気機器メーカー
職種
営業
業務内容
福祉・生活支援機器部門の海外営業職

商品企画10年。積み上げた欧州市場への知見を認められ。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

シナノケンシは精密モータメーカーとして知られていますが、私が採用していただいたのは福祉・生活支援機器部門の海外営業職。視覚障害者向けデジタル録音図書読書機などの福祉機器を、欧州・中東・アフリカ各国の点字図書館のような機関や、代理店・販売店に営業しています。現在は国内にいて、欧州に駐在している担当者と協力しながら仕事を進めています。ただ、いずれは私も現地に飛んでどんどん動いて欲しいと言われています。

入社前のご経歴を教えてください。

子供の頃からずっと首都圏に住み、大学では機械工学を専攻。卒業後は横浜に本社のある電気機器メーカーに機構設計の技術者として就職しました。5年ほど設計に携わった頃、「もっとお客様に近い所でものづくりに関わりたい」という思いが芽生え、商品企画の部署へ配転。ちょうどその頃、イギリスの販社に商品企画担当者が派遣されることになり、3年間、欧州の市場を肌で感じるという貴重な経験をしました。帰国後も含め、合計で約10年間、商品企画に携わっていました。

転職のきっかけは?

イギリスから帰国後も欧州向けの商品企画を担当していたのですが、2~3年前からでしょうか、手がけていた製品分野の市場に閉塞感を感じ始めていました。新しいことを提案するのもなかなか難しい状況になっていたのです。少し行き詰まったような状況の中、家で妻に何気なく「どうにかしたいな」と話したところ、長野市出身の妻が「私、ゆくゆくは長野に帰りたいと思っている」と言うのです。この言葉を聞くまで、私は自分が転職をするなどとは考えたこともありませんでした。行き詰まっていたとはいえ、それなりに充実した仕事をしていましたから、初めは「あり得ない」と思いました。ただ、妻と話をするうちに少しずつ、転職の可能性を考えるようになっていきました。

転職活動はどのように進めましたか?

38歳になっていましたので、本当に転職できるのか半信半疑でした。そこでまずはインターネットで長野県に特化している求人情報サービスを探し、「リージョナルキャリア長野」のサイトにたどり着きました。エントリーするとすぐに担当の方から連絡が来て、何社か紹介していただいた中にシナノケンシがありました。全くの偶然なのですが、シナノケンシは新卒の時に入社を検討していた会社の一つでした。高性能の製品に興味を魅かれ、名前を知っていたのです。そんな経緯もあり、「試しに申し込んでみよう」と。すると一週間もしないうちに「先方が会いたがっている」と連絡があり、現在私が所属している部署の部長と東京都内で面談することになりました。30分ほどという予定でしたが、いろいろな話をして、結局2時間半くらい話したでしょうか。でも、その時はあまり手応えもなく、「ダメだろう」と思っていたのです。ところがまたすぐに電話があり、ぜひ上田市の本社に来て欲しいという。正直に言えば、転職について本気になったのはここからでした。

今の会社とのマッチングポイントはどこだったのでしょうか。

会社側は、欧州市場に関する知見を持ち技術的なことも解る人材を探していました。ですから、製品は異なりますが、欧州向けの電気機器の商品開発に10年間携わってきたキャリアやイギリスの駐在経験を認めていただいたのだと思います。ただ、私は営業に関しては全くの未経験。本社面接に臨む時もそこが一番の不安でした。ところが、役員面接の前に配属部署の要職の方々と面接した際、「営業経験がないのは不安かもしれないが、我々がしっかり教育するので、とにかく役員面接を頑張ってください」と非常に暖かい言葉をかけていただき、心強かったのを覚えています。私としても、これまで一生懸命にやってきた仕事のスキルを活かして長野で働くことができる。不思議なくらいぴったりの会社でした。

視点が変わり新たなやりがい。長野の人も自然も心地良く。

転職した今の心境は?

実際のところ、初めての営業職ですから難しさは感じますが、周りの人たちが非常に大事にしてくださり、親切に教えてくれるので、なんとかやれています(笑)。また、こちらで仕事をしてみて、やはり欧州の市場は面白いと感じます。扱う商品が変わったこと、営業という最前線に立ったことで視点を変えることができたのが大きいのかもしれません。今は、難しい市場の中でどうやって成功するか、そこにやりがいを感じています。

生活面での変化はいかがですか?

妻の実家が長野市にあるので以前から夏休みや年末年始ごとに訪ねてはいましたが、住んでみるとあらためて、自然に囲まれた暮らしは私の性に合っていると実感しています。妻も馴染みのある土地に帰ってきたからか、神奈川にいた時よりも生き生きしているような気がします(笑)。3歳の息子を公園に連れて行けば地元の子たちがすぐ仲間に入れて一緒に遊んでくれますし、親同士もすぐに打ち解ける。会社でもプライベートでも、長野の方は温かいなと感じます。

困っていることや課題はありますか?

課題は語学力です。前職では「なんちゃって英語」でもなんとかなったのですが、今度の仕事では自分で海外のお客様と話をしなければいけない。ですから、英語力を仕事で使えるレベルにまで引き上げる必要がある。英語力向上は自分にとって生涯をかけての課題になると思っています。

転職してよかったと思うことは?

転職活動を始める時は、転職するためには何かを犠牲にしなければならないのだろうと覚悟していました。でも私は今、何も捨てることなく、いろいろなことがプラスに働いています。収入面は、金額だけ見れば下がりましたが、もともと私はあまりお金に執着しない、どちらかといえばやりがいを優先させたい方なのです。100%、転職してよかったなというのが正直な気持ちです。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

思い切って転職をしてみて感じたのは、住みたい場所で仕事をするのは、精神面でも生活面でも非常にプラスになるということ。「ここに住みたい」という地域があるのなら、一度検討してみるのも悪いことではないと思います。日本ではまだまだ終身雇用の考え方が根強いと思いますが、自分のライフスタイル、住みたい環境を考えた時に、選択肢の一つとして転職を考えてもいいのではないでしょうか。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
渡邉 美和

長野へのIターン転職とのことで、最初はとても不安そうだった星野さん。当時は神奈川県にお住まいだったため、面談も電話やSkypeが主でした。直接お会いできない分、回数多くお話をさせていただき、星野さんの大切にされている価値観や、お仕事への想いを明確に捉えられるよう私も心がけました。そんな中で「ダイレクトに人の役に立つ分野で活躍したい」というお言葉を聞き、思い当たったのがシナノケンシ様の福祉生活支援機器の営業職。これは!と思い星野様にご紹介させていただきました。私自身も星野様とお話をさせていただく中で、人として学ばせていただく面も多々あり、星野様と出会えて本当によかったと感じております。

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